2010-06-01

捨てゼリフ

忘れ物を取りに、金曜にはじめて立ち寄った店。

カウンターの一番奥に、客が一人。前回は読書のためにほぼ橋に座ったが、「無愛想だったか、店の人と話をすべきか」とひとつ置いた隣、マダムの正面に座る。

本も煙草も出さず、メニューや酒瓶を見ながら会話を待つ。沈黙。奥の男が食べ終わり、救われたようにそちらに話しかけるマダム。

新しい客が二人連れで来る。あと三人来るというから詰めようと、荷物をまとめていると声が掛かった。

「すみませんが、お席移動してていただけませんか」

声の響きにかちんときて。残った酒を飲み干し、カウンターから上、食器を下げる高さに無言でグラスを置く。上衣を着なおし席を立った。

請求を差し出しながら言われた「忙しいときを狙って来ているんじゃありませんか」。

暇なら相手をしてやるのに ? そんな素振りは毛頭なかったよと言い返す。

「いや、親子代々の招き猫なんで」

事実だ。そしてもちろん、二度と訪れる気はない。

2010-05-15

「お寝み」を言いたい夜

誰かに言いたい言葉があるとき、相手を間違えてはいけない。無理に伝えてもいけない。

言いたい言葉も飲み込もう。その感情はきっと、次にその人に会ったときの言葉に乗っかる。

言いたかった内容を伝えられなくとも、感情は時を経て伝わる。素敵じゃない ?

2010-05-12

たまには、真実は要らない

会うことができれば、その態度に反応できる自信がある
会うことができなければ、なにを考えるのも勝手

たまには、真実は要らない
悼んでくれているという甘い想像が、走るに任せる

手がかりを探さない

2010-05-02

ものもらい

「それほど重くないし、医者には行っていないんだが。きっとものもらいだね。左目を閉じていると楽なんだ」

「君はドイツ語こそ知らないが、近代心理学という宗教の信者で、フロイトの手掛けた有名なクライアントの話なぞ、心に染みついていそうだよね」

2010-04-22

逆ストーク

mixiで。

知り合いの日記へのコメントから、発言者のページに辿ろうとしてブロックされていた。

コメント内容に、共通の知り合いという情報が追加され、名前に見覚えがなくとも判る「あの人か」と。

今までの交遊があった経路を切られた時は悲しいが。その経路をこちらから調べもしていなかったのに、向こうから態々探して、ブロックして、足跡も消して。そんなこじれ方をした相手は一人目ではない。

そんな行為をされて浮かんでしまう憐憫や満足感の裏にあるのは、認めたくないが支配欲なのだろう。

わざわざ解除するのも手間だから解除していないだけ、今はこだわっていないと想像しておこう。そうでないと向こうが惨めすぎる。

2010-04-07

漫画読んだ

疲れる一日だった。

気分転換に散歩にきて、二日遅れで「ビッグコミックスピリッツ」掲載の「この -S- を見よ」(北澤拓) を読んだ。

主人公の少年が、自覚していなかった魔法(チャーム) で一度親しくなった女性を心に描き話したあとで「僕のことを好きだった君ははじめからいなかったんだ。あれは幻だった」と泣いていた。

やれやれ。

人と人の出会い、感情はいつも一回。

導いたのが偶然のタイミングであれ、性的な魅力であれ、酒であれ、再現は期待できない。

機が向けば新たに似た情景が再現されるかもしれない、しないかもしれない。博奕打ちは知っている、機が向くように最大の努力を重ねても、最後は偶然だけが導くと。

男女の仲に心変わりなどない。すべて真実。それでも再現しないことがある、同じ相手とであれ。

「恋の鞘当ては、敗れたほうがアテウマなのさ」(鯨)

2010-04-03

幻想 -2-

黒い猫になって魔除けになってそばにいようと言ったら、自分が魔物に変わった。

白い猫になって幸運を呼ぶ存在になって、ときどき近づくことにした。

そんな夢をみた。